2024年2月12日 13:00
映画『梟ーフクロウー』時代も国も超える超感覚スリラー…常闇に紛れる真実を見逃さないで
こうしたギョンスの慎ましくも誠実な姿勢と卓越した鍼の技術は、世子やその息子である世孫ら周囲から信頼を得るが、そんな矢先に、世子が“目や耳、鼻や口など七つの穴から鮮血を流し”亡くなる現場を目撃してしまう。
見えないふり、聞こえないふりが肝要である宮廷で、“唯一の目撃者”となったギョンスが抱えた秘密は夜更けの宮廷に狂騒と混乱をもたらしていく。目を懲らしていなければ見逃してしまいそうな暗闇の中での探り合いと、二転三転していくストーリーは、監督のアン・テジン曰く「巨大な牢獄のように閉ざされた」宮廷という舞台装置までもが生きた役者となる。
漆黒の闇の中でこそ目を見開き、物事を見極めようとするギョンスを演じるリュ・ジュンヨルの熱演に導かれながら、先の読めない緊迫の昼夜が没入感たっぷりの映像、メリハリの利いた音響とともに過ぎていく。確かに、これまで幾多の韓国映画・ドラマで見慣れてきたはずの宮廷に、自身も閉じ込められているような感覚におちいる。
ギョンス役のリュ・ジュンヨルと仁祖を演じるユ・ヘジンは、本作で3度目のタッグ。ユ・ヘジンは、ヒョンビンと名コンビを組んだ映画『コンフィデンシャル/共助』シリーズや人気バラエティ「三食ごはん」