【映画と仕事 vol.26】人々の心をざわつかせる濱口映画はどうやってできる? 濱口竜介監督が語る、キャラクターの膨らませ方、ラストシーンの描き方
引っ越しばっかりしていたもので、その土地に根ざした遊びはしてなくて、それしかなかったというのが実際だと思います。
ただ、映画館に行くのは昔から好きでした。小学生の頃『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て、中学生で『ターミネーター2』を観て面白いと思って、高校生くらいになるとミニシアター系やアート系の映画も観るようになって、自分のことを「映画好きなんじゃないか」と思って、大学で映画サークルに入るんです。そこで、自分なんて実は全然観てなかったんだって気づいた感じです。映画自体は好きだったけど、全然足りていなかった…と。
――「自分で映画作りたい」という思いで映画サークルに入られたんですか?
そうですね。僕は一年浪人して大学に入ったので、浪人期間中は、なかなか映画館にも行けず、すごくつらさもありました。なので、大学に入ったらやりたいことをやろうって思いが強まって、そのひとつが映画でした。
とはいえ、いま思うと、映画をどう作るのかということについて、何も知らなかったですね。
――その後、大学生活を送りつつ、仕事として“映画業界”を志すようになったのは?
大学3年くらいになると就職活動が始まるんですけど、何を大学でやってきたかと振り返るわけです。