【インタビュー】シュー・グァンハン&藤井道人監督「ボーダーを取り払って作った」新たな挑戦
という言葉でした。台湾の人たちは雪が好きだということは知っていましたし、(プロデューサーの)チャン・チェンやロジャー・ファンの「コロナ禍で会いたかった人に会えない、行きたかった場所に行けなかった人たちが、もう一度“旅”というものを考え直す作品にしたい」という思いも知っていたので、「こういう景色を撮ってほしいんだろうな」という景色を取り入れたりはしましたね。
――本作には、日本の人がイメージする台湾と、台湾の人がイメージする日本の風景が、うまく両方取り込まれていると感じました。バランスには気を遣ったのでしょうか?
藤井:カメラマンと一緒に、それぞれ色味や場所の撮り方は工夫していますが、「この地域だからこう撮ろう」というより、「ジミーという人の生きている世界が同じアジアの中にある」ということを意識しました。多分みんな意識的に「日本映画」「台湾映画」と区別して映画を観てきたけれど、今回は「アジア映画を作る」という思いで作っているんです。僕らがボーダーを取り払って作ったことがこの映画の中で作用していたなら、うれしいですね。
(text:Rie Nitta/photo:You Ishii)