【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」
――『あんのこと』にはDV被害者の方等が暮らすシェルターマンションや薬物依存症からの更生を目指した自助会等々、各々の“再生”に向けた現実社会の事柄も描かれます。映画を通して「知る」「理解を深める」という効能もありますね。
多々羅(佐藤二朗)という警察の中にいる人が、「薬物で捕まってしまった人を更生させてあげたい」という個人的な想いで自主的に作ったグループという点には驚かされました。「助けたい」「よりよい環境に連れて行ってあげたい」という人の想いで作られている組織の存在を、私は全然知りませんでした。「自分たちで助け合う」という気持ちがないとなかなかその状態から抜けだせないし、逆にいうとセーフティーネットがないから共助していかないとダメな状況なのだろうな、とも言うことがわかりました。
出演後に変化した社会の見え方と心境
――漠然とした質問で恐縮ですが、本作に出演されて河合さんご自身の社会の見え方は変化されましたか?
変わったと思います。これまでも様々なニュースを観て「自分と違う境遇にある人がたくさんいる」ということを知識としてわかっているつもりでしたが、その当事者を演じるなかで自分自身が疑似体験したことや、映画にしていくことで感じた事柄によって見え方は変容しました。