『流麻溝十五号』ゼロ・チョウ監督、台湾で初めて女性政治犯を映画で描いた理由
前総統は女性、さらに同性婚が認められている台湾に、“自由でリベラル”というイメージを持っている日本人は多いはず。そんな台湾も、1949年から1987年まで38年もの間、国民党政権の下で戒厳令が布かれ、言論の自由は厳しく制限されていた。
台湾の南東に浮かぶ離島・緑島には、その間に捕らえられた政治犯を収容する監獄があった。映画『流麻溝十五号』のタイトルは、その監獄の中でも、女性たちが収容されていた住所を指す。女性政治犯を扱った台湾初の映画である本作の周美玲(ゼロ・チョウ)監督に、この作品にかけた想いを聞いた。
もっと早く作られるべきだった映画
――戒厳令が布かれていた間、政治犯として多くの人々が投獄され、迫害された「白色テロ」。『流麻溝十五号』は、絵を描くことが好きな高校生の余杏惠(ユー・シンホェイ)、正義感の強い看護師・嚴水霞(イェン・シュェイシア)、妹を守るために自首して囚人となった陳萍(チェン・ピン)の3人を中心に、政治犯として捕らえられた女性たちの姿を描いています。このテーマを映画化したいと思った理由についてお聞かせください。
台湾の人の多くは、かつて大勢の女性思想犯が収監されていたことを知りません。