くらし情報『『流麻溝十五号』時代背景を解説―なぜ離島に閉じ込められた彼女たちは日本語を話すのか?』

『流麻溝十五号』時代背景を解説―なぜ離島に閉じ込められた彼女たちは日本語を話すのか?

双方が作用し合ったことは、非常に重要でした」

■いまだ政治的テーマは避けられる傾向も
『流麻溝十五号』時代背景を解説―なぜ離島に閉じ込められた彼女たちは日本語を話すのか?

『流麻溝十五号』は、初めて女性の政治犯を描いた台湾映画だ。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『悲情城市』(1989年)、楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)など、かつて巨匠たちが白色テロを扱った骨太な作品は存在したが、民主的な社会へと大きくかじを切った台湾では、もはや白色テロ時代を題材にすることも難しくなくなったのだろうか?

「難しさはありました。実は、台湾で公開する1か月前に、ネットに『こんな映画は観るな』という意見が投稿されたんです」。

クリエイターたちの中にも、レッテルを貼られることを恐れて政治的内容を扱うことをためらう人が多いとチョウ監督は言う。

「でも、この映画で描いた内容は、いつか誰かが語らなくてはならなかった事実です。でも、台湾のクリエイターの多くは、“孤高”を保ち、政治を語ることをよしとしない。なぜ事実を語れないのか? 語れないのではなく、語る勇気がないのです」。

しかし、近年の台湾の映像作品を観ていると、当時を知らない若い世代の中にも、自分たちの方法で過去に向き合おうとする動きが生まれていると感じる。
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