『最後の忠臣蔵』役所広司インタビュー “生かされた男”の矜持を語る
使命を帯びて生き残ったのは孫左衛門だけではない。無二の親友で、華々しく討ち入りを果たすことを誓い合った寺坂吉右衛門もまた、生き証人として討ち入りの真実を後世に伝え、志士たちの遺族を援助するという命令を帯びて生き残った男であり、この2人の再会が物語を大きく動かしていく。この吉右衛門を演じるのは佐藤浩市。これまた意外なことに、本格的に共演するのは、これがほぼ初めてとなる。
「佐藤さんが登場したときは頼もしかったですよ。『来た来た!』って感じで(笑)。映画を撮ってる、時代劇を撮ってるという感じがしましたね。討ち入りから16年を経て再会するわけですが…やはり、その間の苦労を一番分かるのは彼(吉右衛門)なんですよ。
そのシーンで対峙した瞬間に『分かってくれる男がいま、目の前にいるんだ』というのを実際に強く感じましたね。まあ空き時間は(佐藤さんは)競馬の話しかしてないんだけど(笑)」。
監督という立場を経験して変わったこと
役所さん自身は昨年公開された『ガマの油』で、初めてメガホンを握った。“監督”という立場を一度経験して、その後、俳優として現場に立ったとき、心境や臨み方に変化はあったのだろうか?
「はい。