堅守と芸術的キックに見る、浦和レッズ守護神・西川周作が同居させる氷と炎
「負けても大きく崩れないことが大事だった。すべての試合を生かしてこられたと思う」。
○独自の哲学が育むチームメイトとの固い絆
胸中には守護神の矜持とも言える、ある哲学を秘めている。
「GKは味方のミスを帳消しにできるポジションだと思っている」。
マリノス戦の前半28分。左タッチライン際で槙野からボールを奪ったMF佐藤優平が、フリーでペナルティーエリア内に侵入してきた。絶体絶命のピンチにも西川は冷静沈着だった。
「角度はなかったので。
いいポジションを取ることで、余裕を持って構えることができた」。
佐藤の一撃をセーブした西川のプレーに救われた槙野は、持ち前の闘志をさらに増幅させる。後半25分にドリブルで侵入してきたMF齋藤学を、必死の形相で追走したシーンはその象徴だ。体を張ってシュートコースを限定させ、西川のビッグセーブを導いた。
もちろん、人間である以上は西川もミスを犯す。バックパスのトラップ際を狙われ、まさかの決勝点を献上した試合もあったが、育まれてきた味方との信頼関係が28歳の守護神を強気にさせた。
「逆に自身がミスをしても、変わらないプレーをしようと思えるんです」。