くらし情報『実現率1%の邦画界にまつわる、映画監督と原作者の本音と諸事情 - 深川栄洋監督×原作・加納朋子』

実現率1%の邦画界にまつわる、映画監督と原作者の本音と諸事情 - 深川栄洋監督×原作・加納朋子

キャストにしてもそうですし、脚本にしてもこれがベストだったんじゃないかなと思います。

●原作者は大幅な設定変更に何を思う?

――主人公の職業設定はなぜ落語家に?

深川:要因がものすごく複合的で立体的なので、いろいろな話をしないといけないんですが(笑)。原作を読んだ時に、とても映画的だなと思ったんです。亡くなった人が乗り移ったり、現実の世界にはなかなか起きにくいことが描かれいて、夢のある作品だなと感じました。それをどうやって映画にしようかと考えた時に、プロデューサー陣が成功例として考えたのが映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)。

それはスーパーナチュラルなCGや合成を駆使して2人のすれ違いをうまく描いていました。ただ、今回の『ささら さや』でそれをやってしまっては、とても大味すぎるような気がして。もっと繊細でやわらかくて、優しい温度感。
そうして、SFにするのをやめようと決めてからまた苦しみはじめるんですが(笑)。実は僕に企画が来てから5~6年くらいかかっているんです。

加納:だから、私もあきらめてたんです(笑)。

――えー! そんなに前なんですか。

深川:ええ(笑)。

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