実現率1%の邦画界にまつわる、映画監督と原作者の本音と諸事情 - 深川栄洋監督×原作・加納朋子
それから、小説では旦那さんの名前はあえて出してないんですよ。幽霊ということで一切出さずにストーリーを作っています。映画は名前も付いていますし、より旦那さん側の気持ちが伝わって、ここもなるほどなと思いました。
――映画を観終わった時に、率直にどのように感じましたか。
加納:乗り移っているシーンは観客として見どころですよね。でも、子役さんが乗り移られる演技をしてどんな感じになるんだろうと…。失礼ながら、ダイヤ役の(寺田)心くんが一番不安だったんですけど、あっぱれな役者さんでした(笑)。
――試写室でも笑いが起こっていました。
加納:ええ、本当に(笑)。
深川:よかった…。
加納:とても印象に残っていて、心くんのお芝居はよかったなと思います。
深川:子どもと一緒に映画を作ることが多い方なんですけど、子役を子役として扱っていません。「なんでそんなお芝居したの?」みたいに、今まで聞かれたことがないような言葉を投げかけながら、やっていきます。ある時、心くんの芝居がちょっと違うと感じる時がありました。やっぱり、子どもなので安定しない部分がどうしてもあるんですね。それを安定させるために、「今日の心くんは集中してないからダメだよ」