ただ、ハードウェア上は、別々に機能を提供しているのが実情。たとえば、情報系やOLTP系などはそれぞれ別のHANAインスタンスで稼働している。単一のインスタンスに統合しようとすると、これまでは個々のシステム間をインタフェースを経由して連携せざるをえなかった。SP9では、データベースのマルチテナント機能をHANAネイティブに持たせた。これによって、1つのデータベースのなかに複数のスキーマをコンテナとして持つことによって、物理的にも複数のOLTPや情報系を持つことができるようになった」
具体的には、HANA上で複数のアプリケーションを稼働させる場合、SP8までの構成では、1つのデータベースに複数のスキーマとアプリを持たせる「MCOD: Multiple Components, One Database」構成を採用するか、ハードウェア上にハイパーバイザーをインストールして、複数のOS上で管理するかしかできなかった。SP9からは、1つのOS、1つのHANAインスタンス上で、複数のデータベース(テナントデータベース)を持つことができるようになった。
なお、こうした単一のHANAシステムでは、大容量のメモリを取り扱うことになるが、これについてはダイナミックティアリングというSP9で追加された新機能が活用できるという。