くらし情報『女の節目~人生の選択 (9) vol.9「初めての、ナンパ」【15歳】』

2015年1月9日 17:00

女の節目~人生の選択 (9) vol.9「初めての、ナンパ」【15歳】

そう思った途端に、恥ずかしくて顔が赤くなったのは、自分がその年齢になるまで、そんな世の中の仕組みにほとんど無自覚でいたからだ。後輩たちがはやしたてるように、そのナンパな生徒会長が異性としてカッコよかったからではない。いやむしろ、そこまでカッコよくないから赤面した。えー、あいつに決められたらたまったもんじゃねーよぉー!

まだ携帯電話もない時代、流行りのポケベルも持っていなかった。何度か自宅に電話がかかってきて、そのたびに大騒ぎして親から受話器を奪い取り、少し話をしてから切った。もう連絡してこないでほしい、と私から断りの電話を入れたのは、新宿西口の公衆電話からだった。ドキドキしながら初めてこちらから電話を掛けると、向こうの家でもまったく同じ、親と子の大騒ぎが起きていた。

これ以上、あなたの求めには応じられない。
くどくど伝えると、「そうですか、わかりました」と言って、あっけなく電話は切れた。彼はあちこちの文化祭で、もっと大勢の女の子に数えきれないほどの名刺を配っていて、自分はそのうちの一人に過ぎないのだということがよくわかった。向こうはただ、手当たり次第に女子をナンパしただけだ。自分から積極的に電話もしてこなかった私のことなど、メモに走り書きした名前さえ忘れて応対していたかもしれないのだった。

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