ソロシネマ宅配便 第15回 稲垣吾郎、『半世界』で見事に演じる“39歳中年男”のリアル
すべてがうまくいったわけでもなければ、夢がかなったわけでもない。けど、あの頃の未来に立って、自分の仕事に誇りと不安を持ちながら目の前の人生を生きている。
映画を見ながら、ふと昔の記憶が甦った。あれは20代中盤の頃だ。久しぶりに実家へ帰り、コンビニ(と言っても歩いて10分以上はかかる)の帰り道、家業を継いだ小学校時代の友人とばったり出くわした。少し会話を交わしお互いの近況を報告し合ってから、トラックに荷物を積む彼と「いつか飲みたいね」と握手をして別れた。彼はわざわざ作業用手袋をとって握手をしてくれたのをよく覚えている。けど、結局そのまま会うことはなく、彼は30代後半にガンで亡くなってしまった。
今でも後悔している。なにかもっと話したいことがあった気がするから。
もう40歳、まだ40歳。ガキでバカだったあの頃を思い出しながら、部屋でひとりじっくり堪能したい1本である。
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