人に聞けない相続の話 (4) 「家督相続」世代と「平等相続」世代のギャップをどうする!?
連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。
【ケース4】
長男 : 「父さんが亡くなった後、弟や妹たちと遺産相続で揉めたくないし、相続税が払えなくても困るから、父さんの財産をわかるようにしておいていただけますか?」
父 : 「縁起でもない事言うんじゃないよ。俺はまだまだ死なないし、財産を狙っているのか?」
「自分の父親にどうやって、相続の準備をさせたら良いか? 相続の話をすると不機嫌になって怒り出すんですよ」
【診断結果】この様な相談を良く受けます。前回のコラムに書いた相続が揉める原因「財産を平等に分けられない」に次いで、相続が揉める2番目の原因は、「家督相続」と「平等相続」のギャップだと思います。
明治31年の民法相続編は、江戸時代の武家相続を範型として、「家督相続」を規定していました。
「家督相続」は「戸主」の交替と観念されましたが、現実には戸主に属する一切の財産の承継を意味していました。
家督相続の相続順位は第5順位まで規定され、第1順位の家督相続人としては、被相続人の家族たる直系卑属があげられ、この直系卑属のうちでは、親等の遠い者より近い者を、女子より男子を、非嫡出子より嫡出子を、年少者より年長者を優先することになっていました。