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3Dプリンタを使ったものづくりの実際は? - 現場の声を届ける「monoFab Experience Day2」

マイナビニュース
3Dプリンタを使ったものづくりの実際は? - 現場の声を届ける「monoFab Experience Day2」
●ラピッドプロトタイピングのニーズが増すものづくりの現場
2月17日、ローランド ディー.ジー.(ローランドDG)は東京クリエイティブセンターにおいて「monoFab Experience Day2」を開催した。3Dプリンタや切削加工機についてのトレンドや活用事例について、社外から招いた講師による講演を行うイベントだ。今回は2人の講師による講演とともに、ローランドDGによる「3D相談会」も開催された。

○ラピッドプロトタイピングの課題に3Dプリンタ+切削加工機で対応

最初に「デザインの現場におけるmonoFab 活用事例の紹介」と題した講演を行ったのは、富士通デザインの山岡鉄也氏だ。富士通グループの提供するハードウェアデザインだけでなく、ソフトウェアのGUI設計やコーポレートブランド、コミュニケーションデザインといったものまで幅広く手がける富士通デザインにおいて、ローランドDGの光造形方式3Dプリンタ「ARM-10」と、3D切削加工機「SRM-20」を活用して行っているのが、ラピッドプロトタイピングだ。

「ラピッドプロトタイピングへの要望は、すぐ欲しい、何回でも試したい、安くつくりたいという3つがある」とした山岡氏は、各課題にいかに対応しているか、実際の制作物を手に語った。

「すぐに欲しい」という要望は、製品開発期間の短縮が求められる中、短時間でのデザイン検討が必要になってきたのが要因だという。しかし短期間でも実際に触って確認できるものが必要だ。
また「何回でも試したい」という要望もこれにつながるもので、作っては試すということの繰り返しでブラッシュアップを試みるための試作品が必要とされている。

「キーパッドの形状のように凸量によって触った感触の違いを知りたいという時には、加工時間を短縮できる発泡材を切削した。朝セット、帰りに裏面のセットをすれば、翌朝には両面の加工が完成していて、十分確認できる。手回しダイヤルが欲しいという要望には3Dプリンタで対応。こちらはおよそ8時間で対応できたと山岡氏。繰り返しの試作に対しても、素材感が必要な場合には利用素材を選択できる切削加工機を利用して作り、細かく複雑な形状のものを試作したい時には3Dプリンタを使うという形で使い分けている様子が紹介された。「安くつくりたい」というのはどこにでも存在する要望だが「前例がない製品やサービスのプロジェクトほど予算が少ないため、試作にコストをかけず、正確なモデルが欲しい。そこで3Dプリンタと切削加工機を組み合わせて試作を行った」と山岡氏は現場での工夫を語った。


さらに3Dプリンタを使っていくうえで、材料を節約しようとした結果発生した失敗や、機器設置場所や普段の扱い方といった現場感溢れるユーザー目線での講演が行われた。「デザイナーの発想がすぐ形になることで、デザインの可能性は大きく広がる。これからもさらに継続して活用して行きたい」と山岡氏は結んだ。

●ものづくりの現場に根付きつつある3Dプリンタ/切削加工機
○3Dプリンタ、世界や現場ではどう使われている?

続いて「3Dプリンターブームの実際と、少し先の未来」と題した講演を行ったのは、ケイズデザインラボの原雄司氏だ。3Dプリンタに関する著作も多くある原氏は、自身を「3Dプリンタの人ではない」と紹介。メディア報道の熱は急激に盛り上がった後で冷めたかのように見えるが、実際のものづくりの現場には3Dプリンタやスキャナ、切削加工機といったものがしっかりと根付きつつあることを語った。

3Dプリンタを使って作られたものとして、アメリカのLocal Motorsが発表した実際に走ることのできる車のボディや、中国での建造物といったものを紹介。「日本だとすぐに公道が走れるのかだとか、こんなものに住みたいのかというような話になるが、3D技術の可能性を示すには、魅力的で面白い事例だと思う」とCES(1月に開催されたアメリカ最大の家電見本市)で見た最新の3Dプリント事例を交えて、いろいろなシーンでのいろいろなシーンでの活用の可能性について原氏は語った。


自身が経験した事例としては、フルデジタルでのシボ加工を施す「D3テクスチャー」について紹介した。プラスチック成形品に独特の模様をつけるシボ加工は、金型を製作し、材料に型押しする形で成形する。この金型製作は職人が薬品加工などで行うため、デザイナーの思う形状を出せるまでに何度もやり直す必要が出ることが多かったという。

「3Dデータ上でテクスチャを施し、3Dプリンタを使って試作を行うことで、デザイナーが思った通りのシボを作れるようになった。実際、関係者全員で意匠確認を行いながら作ることができ、早期段階で手戻りのない3Dデータを作成。これを元に精密金属加工を行ったことで、金型やり直しゼロを実現した」と原氏。この技術で2012年東京都ベンチャー技術対象の奨励賞を受賞している。

さらに原氏は、2010年に制作されたFabLabの動画と現在の状況を比較して、現状が過去の予測とそれほど離れていないことなどを紹介。
「今後はBtoB、BtoCというのではなく、BtoI、individualの時代になる。IoTとBtoIを組み合わせた世界も予見させられるようになってきている」とも語った。

○無料ベンチマークを受けられる「3D相談会」も実施

両講演ともに多くの質問が飛び交い、講演終了後も登壇者は参加者に囲まれて質問を受けていた。参加者の質問は、実際に使った場合にどうなるのか、今後の法整備はどういう方向へ向かっているのかなど、具体的なものが多く、3Dプリンタや切削加工機を使ったものづくりがより身近なものとなりつつあることが感じられた。

また、当日は「3D相談会」として、予約制で3Dプリンタや切削加工機の特徴やメリットについて詳細な説明を受けられる機会もあった。ここでは各機種のベンチマークを無料で受けることもできた。導入を具体的に考えている企業にとって貴重な機会となったはずだ。

「monoFab Experience Day2」は東京を皮切りに、大阪、福岡、名古屋と各都市で開催されている。
同社ではこのような形でユーザーや3Dプリンタ、切削加工機導入を検討する企業が参加できるイベントを頻繁に開催している。情報収集の場や、導入相談の場を求める企業にはぜひ注目して欲しい。

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