女の節目~人生の選択 (12) vol.12「初めての、泥酔」【20歳】
安物の赤ワインをどぼどぼ入れて作ったブラウンシチュー、安物の白ワインをどぼどぼ入れて作ったチーズフォンデュ、湯気を嗅いだだけで酔いそうな貝の酒蒸し、果物のコンポートに洋酒たっぷりのサヴァラン、チョコレートボンボン。我が家の食卓に並ぶおいしそうなものは、どれもふんだんに酒が使われていた。「もし体質的に酒を受け付けないなら、盃を渡す前に、料理でそれとわかるはずだ」というのが、また別の言い訳だった。たしかに我々三人姉弟、幼い頃から母の手料理や父の土産を口にして、突然ぶっ倒れたことはない。
○命の水の調べ、俗界を抜け出し
我が家では、「できる範囲で、子供も大人と同じものを飲み食いする」ことが奨励された。子供だからといってレストランで甘いジュースを注文するのは許されない。代わりにワインを一口飲むのはよいが、生牡蠣やイカの塩辛など、味の強い酒肴は食べさせてもらえない。アルコール耐性を把握した上で、父母は子供に飲酒を強要するのではなく、ただ、ちょっと積極的に勧めてくるだけだった。
法律で禁じられている行為ではあるが、まぁ常識の範囲内ではあったろうと思う。
女子校生活はなかなかに暗黒色だったので、私の日々の支えは「大人になれば、今よりもっとずっといいことが起こる」