くらし情報『女の節目~人生の選択 (14) vol.14「初めての、就職」【23歳】』

女の節目~人生の選択 (14) vol.14「初めての、就職」【23歳】

何か私にしか持ち得ないもの、個性だとか、能力だとか、実績だとか、そんなものが評価されてこの会社に迎え入れられたとは、到底考えられなかった。すべては運だ。

尿検査を待つ診療所で私は初めて、「どうせ落ちるんだろうなぁ」を超えて、「ここ落ちたくないなぁ」と思った。先の見えない競争に疲れ果て、どうせ選ばれないのなら大学の用事を優先させたいとさえ考えていたけれど、これだけやらかしてもまだ落とされないってことは、入ってからも好きに仕事させてもらえる職場環境に違いない、と思った。実際その通りだった。

児童書の出版社と化粧品の宣伝部には落とされ、民放子会社の内定は辞退した。他のあらゆる可能性を切り捨てて、たった一つの未来を選ぶ。就職先を決めるというのは、とても大きな人生の「節目」である。
しかし、あれだけ頑張って身構えて、窮屈なスーツに身体を押し込み、ダメモトと知りつつ果敢な挑戦をした……にも関わらず、人生にとってこんなに大事な「節目」が、結局「ご縁」なんてもので決まったりもするんだよなと、今は思う。

よく、意識の高そうな先輩社会人たちが、ケツの青そうな学生どもに向かって、「自分は就職活動からじつに多くの学びと気づきを得た。

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