『パラサイト』の魅力とは? 町山智浩氏が改めて徹底解説「これは全方向映画」
監督自ら図面を描いて作ったセットです。全部作り物。舞台も音も、全てが計算されているんです」
ため息が出るほどに美しく、憧れを抱かせるパク家だが、建築基準に合っておらず、実際には住みづらい造りなのだとか。しかし一見したところは、素晴らしいロケーションにしか思えない。実際、カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門の審査員長を務めたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(『バベル』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)は、「ロケーションがとてもいい」とポン・ジュノ監督に伝え、すべてがセットだと知って驚いたという。さらに町山氏の音声解説バージョンによると、パク家の広いリビングから見える開けた美しい庭も、グリーンバックではめ込まれた映像なのだとか。
●名優ソン・ガンホの存在感
※編集部注:本記事はストーリー展開を解説する内容も一部含んでいます。知らない状態で映画をご覧になりたい方はご注意下さい。
○■前半は『オーシャンズ11』や『ミッション:インポッシブル』のよう!?
そんな“半地下”と高台を舞台に、ジャンルレスな物語が展開していく。
「監督自身も言っていたのですが、前半はいわゆるケイパーもの、ミッションものの形式を取っています。