園子温監督の最新作『ラブ&ピース』はなぜ特撮なのか? サブカルになる以前「空気のように存在した特撮。もう一度仕掛けてみたかった」
――25年経って、原点に戻ったということでしょうか。それとも、新たな挑戦だったのでしょうか?
まあ、戻ったと言う気持ちの方が強いかもしれません。その時実現したかった本当の自分らしい作品を作れたことが大きいですね。
――ご自身の若い頃に書かれた台本を、今の視点でご覧になっていかがでしたか?
すごく細やかに書かれているというか、今の自分では書けないような感じで、きれいに書いてあったね。昔の自分と今とでは考え方が全然違うというところも多々ありましたけど、そこはあまりいじらずに、昔の自分=27歳の新人脚本家に抵抗せずにやってみようと。だからある意味、27歳が作った映画なんですよ。
――昨年公開された『地獄でなぜ悪い』に引き続いて、監督ご自身をモデルにした主人公・鈴木良一役を長谷川博己さんが演じていらっしゃいます。
何となく、流れでそうなりました。
(役作りも)"園"の時の長谷川君という感じで。
――何をやってもうまくいかない良一が、カメと出会ってから人生が変わり始めます。なぜカメだったのでしょうか?
それは個人的な理由でしかないんですけど……。台本を書いた25年前、その頃の僕は20代後半で映画も撮れず、ずっとくすぶっていて。