園子温監督の最新作『ラブ&ピース』はなぜ特撮なのか? サブカルになる以前「空気のように存在した特撮。もう一度仕掛けてみたかった」
最終的には今までの怪獣の概念からするとちょっと違うものになりました。
●この台本自体、25年前には過激に見えたけど、今見るとそうではない
――最初の姿から、どんどん可愛くなっていきましたね。
そういうコンセプトがあったんですよ。
――過去にも数々の特撮映画において、いろいろな怪獣が東京で暴れてきました。
そういったものへのオマージュという意志はないですね。僕らの世代は、後から来た人たちのような特撮へのリスペクトはないんです。こたつの上のミカンなんて、わざわざオマージュしないでしょう。当たり前のものだから、そういうのはないんです。
作る側は革命的な事をやってくれていたと思いますよ。子供は(怪獣に破壊されるのが)本当の街だと思っていますからね。福島出身の西田敏行さん(謎の老人役)も、中学生の頃にゴジラを見て、僕の街が壊されると不安でしょうがなかったとおっしゃっていましたね。特撮はそれくらい切羽詰まった映画だったんです。
○25年という時間が物語を優しくした
――ある意味、現代日本のファンタジーのようなお話でした。
寓話ですね。絵本のようなものです。でも、子供向けに書いたつもりは毛頭なくて、当時はかなり凶暴な気持ちで書いていました。