園子温監督の最新作『ラブ&ピース』はなぜ特撮なのか? サブカルになる以前「空気のように存在した特撮。もう一度仕掛けてみたかった」
そうですね……。あこがれの女性像を、ちょっと架空というか、理想で描いたのかもしれません。それは僕も25年前、若かったから。
『ラブ&ピース』は、劇中で主人公・鈴木良一が歌う曲のタイトルでもある。園監督自身の作詞・作曲によるこの曲は、アレンジを変え何度も何度も流れるうちに頭から離れなくなる。そして嵐のような『ラブ&ピース』の盛り上がりから、エンディングの『スローバラード』(RCサクセション)が流れ出すと、社会批判も怪獣も恋も夢物語も、いろいろと詰め込まれているけれど、最後は笑い泣きでスッキリ見終わればいいのだと思えてくる。「ありのままの自分がいる」と本人が語るこの作品は、数あるフィルモグラフィーの中でも園子温監督の持つ世界の広さを知るには外せない1本である。