くらし情報『なでしこジャパンが逆境のなかで輝かせた、ひたむきな「折れない心」の源泉』

なでしこジャパンが逆境のなかで輝かせた、ひたむきな「折れない心」の源泉

しかも、日本女子代表はシドニー五輪出場を逃している。

その上でアテネ五輪出場も逃せば、日本の女子サッカーそのものの灯が消えてしまう。北朝鮮戦当日の午前中。宿泊していたホテルの近くを散歩していたMF澤穂希は、参拝した神社でこんな祈りを捧げている。

「他には何も望みません。だから、今日だけは勝たせてください」。

当時の澤は右ひざの半月板を損傷し、歩くことすらままならない状態だった。痛み止めの注射を打ち、座薬までも服用して、まさに執念でキックオフに間に合わせた。


果たして、運命の一戦は日本が3対0で制した。チームを鼓舞したのは、ファーストプレーで相手選手を吹っ飛ばした澤の背中だった。

○世界一獲得への序章となった予告ゴール

ひたむきに戦う彼女たちの姿に日本サッカー協会(JFA)の幹部が感銘し、愛称「なでしこジャパン」が公募されるきっかけとなった北朝鮮戦から約6年後。再びターニングポイントが訪れる。

中国・成都で開催されていたAFC女子アジアカップ。初優勝を狙っていたなでしこは準決勝でオーストラリア女子代表のパワーの前に屈し、中国女子代表との3位決定戦に回った。

この大会は翌2011年にドイツで開催される女子ワールドカップのアジア予選を兼ねていた。

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