なでしこジャパンが逆境のなかで輝かせた、ひたむきな「折れない心」の源泉
サッカーと仕事の両立。厳しい待遇のもとでプライベートがほとんどない日々を連想させるがゆえに、メディアからの質問には「大変だとは思いますが」という枕詞がつくことが多い。こうした状況に違和感を覚えているのが、当のなでしこたちとなる。関係者からこんな話を聞いたことがある。
「彼女たちは昔もいまも、大好きなサッカーをもっともっと極めたいと望むピュアな思いと、頑張っていけば必ず環境を変えられるという一途な思いとともにプレーしているんです」。
望んだ色とは異なるメダルを、なでしこは誇らしげな表情で受け取った。よくやったという言葉は、むしろ彼女たちに失礼かもしれない。それでも、前哨戦だった3月のアルガルベカップで9位に沈んだどん底からはい上がり、決勝までの6試合をすべて1点差で勝ち進んできた軌跡には胸を張っていい。
試合後のフラッシュインタビュー。「この4年間で手にできたものは」と問われた宮間は、涙をこらえながらこう答えた。
「最高の仲間たちです」。
GK海堀あゆみや3失点に絡み、前半途中に澤との交代でベンチへ下がった岩清水を、何人もの選手たちがいたわった。一方で狂喜乱舞するアメリカのかたわらで、試合途中から最終ラインを組んだ阪口夢穂、熊谷紗希、宇津木瑠美が真剣な表情でおそらく反省点を話し合っている。