2015年7月27日 13:00
ファルコン9ロケット、初の打ち上げ失敗 (3) 民間主導の宇宙開発に立ちふさがった試練
折りしも、当時すでにサブオービタル(軌道に乗らない)宇宙船の開発が熱を帯びており、数年以内に乗客を乗せた運航が始まるかもしれないという機運が高まりつつあった。こうした新たな動きに対し、国が主導する「古い宇宙開発」と対比させる形で、新しい宇宙開発の形を意味する「NewSpace」と呼ぶことが流行り始めた。
さらに2009年から始まったオバマ政権は、こうした民間主体の宇宙開発を積極的に支援する方針を示し、NASAも当然それに賛同した。こうしてISSなど地球低軌道の輸送は民間の手に委ね、NASAは月や火星など、より遠くの宇宙の探査に注力するという、現在の路線が確立された。
○アンタリーズの失敗の余波
しかし2014年10月28日、シグナス補給船を積んだアンタリーズが、打ち上げ直後に爆発し、墜落した。いくつかのメディアは「民間主導の宇宙開発は本当に大丈夫なのか」という部分を論点として採り上げた。とくに、爆発した箇所が、オービタル社がロシアから購入したロケット・エンジンだったことも、そうした風潮に火に油を注ぐ形となった(*1)。民間が開発を担ったために、コストを重視しすぎて安価なロシア製エンジンに頼ることになった、したがって多少高価でも米国製にこだわるべきだ、という主張だ。