2015年8月24日 13:37
シリコンバレー101 (627) 握手券のために音楽を買う - 同じような問題が音楽ストリーミングでも
2014年3月にVulfpeckというファンクバンドが約31~32秒の無音トラックを10個(10曲?)収めた「Sleepify」というアルバムをSpotifyで提供し、ファンに対して就寝中にループ再生するように呼びかけた。「Sleepify」は翌月にSpotifyによって取り下げられたが、Vulfpeckは「Sleepify」から数万ドル規模のロイヤリティを得た。そんなことが起こり得るのだ。
1万人のファンに1回ずつ最初から最後まで聴かれた曲と、1人のユーザーによって一部が1万回再生された曲、音楽サービスがどちらの曲を重んじるべきかは明らかだ。しかし、ビッグプール方式ではクリック数が重んじられ、クリック数の多い曲への分配の比率が大きくなる。曲が楽しまれることとクリック数が多いことは必ずしも一致しないから、握手券のためにCDが購入されるのと同じようなことが、ストリーミングサービスでも起こる可能性がある。
曲を楽しむという目的からズレても、アーティストをサポートするためのクリックならまだましなほうだ。適当な曲をリリースし、ロイヤリティを奪い取るためにひたすらボットに再生し続けさせるクリック詐欺も起こるかもしれない。