『劇場版 弱虫ペダル』原作者・渡辺航が明かす、会話劇とシナリオ制作「この状況後に何を喋るか、誰が託して誰が勝つか」
僕が今連載で描いている流れは壊したくなかったので、インターハイが終わった後に熊本で行われる招待レースがあり、毎年箱根学園はその招待を断っていたんだけれど、総北が出場すると聞いて箱根学園も出場する……という設定にしました。
すでに熊本台一という高校が登場しているので、レースのホスト校として据えられるというのもよかったですね。仮に北海道を舞台にすると、新しく北海道の高校を据えなくちゃいけない。全員新キャラになってしまうと観ている方も混乱すると思うし、それで集中して観てもらえなかったら悲しいですし。
――連載の流れを壊さないようにするのは難しかったのではありませんか?
最初は悩みました。でも、インターハイメンバーが再び登場できる隙間は一カ所だけ――インターハイが終わった秋口しかなかったので、ある意味すぐ決まりました。原作を読んでいる方だとわかると思いますが、巻島が留学したあとの話に設定してしまうとなかなかキャラも出てこなくなるんです(笑)。きっと皆さんも総北のあの6人がもう一回走るところを楽しみにしてくれているだろうから、そこを外してしまうのは申し訳ないなと。
●彼らはチームのために走っていて、積んできたもののために走っている
――劇場版のシナリオ作りと、普段の漫画の作り方では違いはありましたか?
僕は絵で考えながら描いていくタイプで、漫画の場合はネームで描きます。