『劇場版 弱虫ペダル』原作者・渡辺航が明かす、会話劇とシナリオ制作「この状況後に何を喋るか、誰が託して誰が勝つか」
でも、映画のシナリオをその方法でやってしまうと、劇場版も「全部チェックさせて!」となってしまうので、劇場版のシナリオはテキストで作りました。もちろんテキストでシナリオを書いていても、頭の中で絵が動いているんですが、それを描いてしまうとアニメスタッフ側の動かし方を制限してしまうし、僕も描いた以上その通りにしてほしいと思ってしまう。それは踏み込み過ぎだし、そこに入り込んでしまうと漫画が疎かになって本末転倒になってしまうんじゃないかと。だから、僕は材料だけお渡しして、あとはアニメスタッフさんにお任せするという形をとりました。
――材料というのは具体的にいうと?
ストーリーの流れと、『弱虫ペダル』は会話劇が重要なので、キャラクターとキャラクターが「この状況後に何を喋るか」という部分を丁寧に書いて「間の部分は繋げてください」という形にしました。結末が決まっているので、物語としては大きく進展していく話ではないですし、「ここで終わらないといけない」という軸がベースにあるので、会話劇とシチュエーションと誰が託して誰が勝つというのが多分一番面白いはず。そこだけハッキリと渡しておけば何とかなるだろうと(笑)。