2015年11月19日 10:00
「第二次オープンサイエンス革命」は起こせるか? - 科学研究におけるオンラインコラボレーションの事例
手伝いだけでなく、「発見する」手伝いもできる。「クマムシ学会最大の謎」であるという「オンセンクマムシ」は、1937年に長崎県・雲仙で発見されたといわれているが、標本がなく、さらに発見場所の温泉が干上がってしまい、いまだ再発見できていないという。そこで堀川氏は「ボランティアを募ってオンセンクマムシを探すミッションをできないか」と提案。たとえば、クラウドファンディングの見返りとしてこのミッションへの参加権を提供すれば、マンパワーも研究資金も得られる一石二鳥の取り組みとなる。
同じ生物学分野でのオープンサイエンスの事例として、京都大学大学院農学研究科 博士課程の末広亘氏は、アリ研究における取り組みを紹介した。アリは日本だけでも約300種が存在しているうえに、どこにどの種類のアリがいるかはわからない。研究者だけで完全なモニタリングを行うことは不可能だといえる。
そこで解決策となるのが、オンライン上での一般市民の研究参加だ。
アメリカではすでに成功事例があり、一般市民の協力によって1年半のあいだに全米500地点で107種類のアリを見つけることができたという。アメリカに侵入した外来種「オオハリアリ」