くらし情報『テレビ・ワンシーン考現学 (20) トイレで愚痴る部下は、個室に入っている女上司に気付かない』

2015年11月24日 17:00

テレビ・ワンシーン考現学 (20) トイレで愚痴る部下は、個室に入っている女上司に気付かない

「気心知れた間柄→リラックスしているから、周囲の変化を察知する余裕もあるという自覚」という式が「上司の悪口が言える←→周囲の変化を察知する余裕あり」という相関関係を生み出す。つまり、上司が個室にいるのにうっかり文句を言ってしまうというシチュエーションは生まれにくい。

○蓄積した嫌悪を開陳するには不適当

個室の開閉を示す「青」と「赤」の印がかすんでいたり、削られていたりして、一瞬の目視では確認しにくい個室もある。先日、お腹の事情で駆け込んだ地下鉄のトイレなど、全て削られた状態、つまり青でもなく赤でもなく灰色だったわけだが、そっとドアを押してみて使用中だと分かったときの絶望感は、筆舌に尽くしがたい。この手の灰色が状況把握を誤らせ、踏み込みすぎた話によって人間関係が破壊された悲劇も、年に数件は起きているのではないか。しかし、ドラマの舞台となるようなイケてる会社のトイレは押し並べてこの辺りが整備されており、使用中かどうかの判断はつきやすい。

上司がいるのに気付かず愚痴を漏らしてしまう女子トイレをドラマ内に持ち込むことに、もっと慎重になるべきだ。トイレの洗面台でざっくばらんに人の悪口を言う、というのは、トイレという場の閉鎖性を考えた上では手を出しやすい選択とも思えるが、蓄積した嫌悪を開けっ広げにするにはやっぱり不適当ではないか。

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