テレビ・ワンシーン考現学 (20) トイレで愚痴る部下は、個室に入っている女上司に気付かない
物語を動かす為に好条件が揃っているのは理解できるのだが、私はあれが登場する度にツメの甘さを感じる。しかし、女子トイレの内実を知らない限りにおいては、こちらの考察にもツメの甘さが生じる。そんなことしてないだろう、という性善説を信じ込むべきでもないし、そんなことばかりしてんだろう、という性悪説も感じ悪い。そもそもそんなことを熟考していることが何より気持ち悪い説も濃厚なのだが、どうして女上司がいる可能性を考えずにトイレで愚痴を言っちゃうのだろうという疑義が、あのシーンを見かける度に、積もっていく。
<著者プロフィール>
武田砂鉄
ライター/編集。1982年生まれ。2014年秋、出版社勤務を経てフリーへ。「CINRA.NET」「cakes」「Yahoo!ニュース個人」「beatleg」「TRASH-UP!!」「LITERA」で連載を持ち、雑誌「AERA」「SPA!」「週刊金曜日」「beatleg」「STRANGE DAYS」等で執筆中。
近著に『紋切型社会言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社)がある。
イラスト: 川崎タカオ
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