2016年3月22日 16:45
航空機の技術とメカニズムの裏側 (10) 飛行機の操縦(3)高揚力装置
前縁フラップは主翼の下面に収納されており、主翼下面外板の一部が前方にくるりと展開する形になっている。しかも、主翼下面に収納している時は平面なのに、それを展開するとリンク機構によって曲面に変形させるのだから凝っている。展開した前縁フラップと主翼の間には、少し隙間がある。
一方、後縁フラップの方はトリプル・スロッテッド・フラップと言い、単に下に下げるのではなく、後下方にせり出してくる。しかも1枚モノではなくて3枚に分かれており、その間に隙間が空いている。
「隙間なんか空けたら、かえって揚力が損なわれるのでは?」と思われそうだが、実は逆。隙間から空気を吹き込んでエネルギーを与えることで、主翼上面の気流がスムーズに流れてくれる。エネルギーを与えてやらないと、かえって気流が主翼の上面からはがれてしまい、揚力を生み出せなくなるのだそうである。
なお、747を初めとして多くの民航機は近年、フラップの構造が以前よりもシンプルになってきている。主翼の設計技術や空力の研究が進歩して、手の込んだ高揚力装置を設けなくても済むようになってきたためだ。構造がシンプルになれば、それだけ軽くまとめることができるし、整備も容易になる。