動物は「高周波ガンマ波」でワーキングメモリを読み出している? - 理研
とは対照的な入力だ(今回の遺伝子改変や光遺伝学手法で操作されたのはこの直接投射回路)。
研究チームは、最新の電気生理学的手法および光遺伝学的手法を、脳の特定の神経回路だけをブロックした遺伝子改変マウスへ適用して、空間的ワーキングメモリを呼び出す時に海馬と嗅内皮質間での情報処理がどのように行われるかを調べたのである。
マウスのような小動物モデルでは、T型迷路を用いた空間ワーキングメモリ課題によって、ワーキングメモリの評価が行われる(画像1)。この課題では、マウスはまずT字型の迷路の分岐したどちらか一方だけのアームに置かれたエサをもらうサンプル試行が行われる(画像1左)。その後、サンプル試行でエサの置かれたアームとは反対側のアームにエサが置かれてテスト試行が行われる(画像1右)。このようなサンプル試行とテスト試行を組み合わせた課題が何回も繰り返される。
マウスは初めの内、テスト試行中にその前のサンプル試行でエサをもらったアームを探そうとして不正解する。しかし、学習が進むとその反対側のアームにエサがあるというルールを理解し、正解するようになる。
つまり、テスト試行中、マウスはサンプル試行で訪れたアームを一時的に記憶し、その記憶をもとに反対側のアームを選ぶ作業を実行しなければエサにありつけない。