動物は「高周波ガンマ波」でワーキングメモリを読み出している? - 理研
ワーキングメモリを含む高次の脳機能は、これまで特にガンマ波と呼ばれる30~100Hzの脳波パターンとの関連が示唆されてきた。しかし、ガンマ波領域はほかの脳波領域に比べて周波数帯域の定義があいまいで、これもまた詳しい機能が知られていない脳波領域だという。ところが近年、ガンマ波領域に高域・低域の2種類の帯域が存在することがラットを使った実験で示され、多くの研究者がその機能分担について議論するようになってきた。
研究チームは、記憶中枢としての海馬-嗅内皮質間の電気生理的な神経活動を調べる目的で研究を進めていたが、その過程で偶然、マウスが「おっと、これは間違い!(Oops!)」というように自己の間違いを修正するような行動を取ることを確認。そこでこの現象に着目して詳細な解析に取り組むことにしたというわけだ。
なお、嗅内皮質は海馬の情報の入出力部位に位置しており、大脳皮質の一部で側頭葉の内側下部に位置する。また今回の研究では、大脳皮質嗅内野の第III層から直接海馬CA1領域に投射する繊維が着目されており、CA1領域にとって古典的な複数のシナプスを介した投射(すなわち大脳皮質嗅内野第II層→歯状回→第3アンモン角→第1アンモン角→大脳皮質嗅内野第V層)