動物は「高周波ガンマ波」でワーキングメモリを読み出している? - 理研
記憶を司る部位である海馬周辺の神経回路が空間的なワーキングメモリに不可欠であることはこれまでの研究によって示されているが、どのようなメカニズムで記憶が保持され、必要な時に呼び出されているのか詳細はわかっていなかったのである。
さらにワーキングメモリを実行する時に、ヒトは起こした行動が正しいか間違っているかをモニターし、必要があれば行動を修正する能力を持つ。そうした行動はこれまで「気付」や「意識」、さらには心理学用語の「メタ認知」などで説明が試みられてきた(メタ認知とは「認知の認知」ともいわれ、自己の認知活動(記憶、思考、情動、知覚など)を客観的にとらえ評価して制御すること)。
こうしたメタ認知の能力に関する記述はギリシャの哲学者アリストテレスの時代まで遡るが、本格的に脳機能として議論され始めたのは1970年代のことで、それから約40年の月日が経過しているが、その神経科学的なメカニズムについての研究は、これまたあまり進んでいない。その原因の1つとされているのが、意識やメタ認知に関する能力はヒト特有の機能と考えられているからだ。つまり、実験モデル動物のマウスなどの小動物では、この能力に関する決定的な証拠がまだ示されておらず、マウスなどを用いた実験ができないからである。