インテリヤンキーの愉快な地元生活 (1) 大学院卒でも「学区」から出ない!? インテリヤンキーの実態とは
大学を出て、会社を辞めてフリーライターになった直後は東村山にあった実家で過ごさせてもらったが、1年ほどでお金を貯めて杉並区西荻窪で一人暮らしを始めた。30代半ばを過ぎ、愛知県で仕事をしている妻と出会って結婚してからは、愛知県蒲郡市の自宅と江東区門前仲町の事務所を新幹線で毎週行き来する生活をしている。「地元」との距離はますます遠くなった。僕にとっては、その遠さこそが学歴と職歴を積んで経済力や人脈を身に付けた証である。地元から出られず、出ようともしないかつてのヤンキー層とようやく対等に話せる気がする。
○地元の大学院、地元の大企業、実家暮らし
一方で、大学を卒業したにも関わらず、幼少期を過ごした地元に住み続けている人たちが周囲にいる。お金がないから実家を出られないのではなく、立派に働いて稼ぎながらも慣れ親しんだ生活環境から離れがたいのだろう。地元に残ったり戻ったりすることは敗北でしかない僕にとっては衝撃的な生活観である。
いったいどんな暮らしをして、何を喜びとしているのだろうか。なぜ地元の外に出ようとしないのか。直接聞いてみたい。
なお、ここでいう「地元」とは、県や市といった広い範囲ではなく、5キロ四方の小中学校の学区程度を指す(原田曜平『ヤンキー経済』幻冬舎より)。