永瀬廉の“憂いを帯びた声”の魅力 『よめぼく』三木孝浩監督「お芝居になるとふとした瞬間に憂いの部分が…」
それは生きている人だけでなく、亡くなった人から与えられることもあると僕は思っています。人が亡くなっても残されたものがあって、それによって生かされていく人もいるんだよということをこの作品で伝えたかった。そういう意味で2人が残す絵や、SNSのメッセージが、映画の中の友達や家族はもちろん、視聴者の方にとってもメッセージとして響いていけばいいなと」
ちなみに春奈が残したSNSのメッセージの仕掛けについては、「今どきのタイムカプセル」のイメージだとか。
「ネットの中で自分の中だけに収めたものが、もしかすると誰かに見つかるかもしれない、誰かに拾われるかもしれない……みたいなイメージです。もっと言うと海に流したボトルメッセージのような。それの現代版バージョンですね」
余命と言われると特殊で悲しい物語を想像しがちだが、三木監督にとってはある種普遍的な青春映画と変わらない。そんな三木の想いと原作へのリスペクトを大事にしながら、脚本家・吉田智子氏が繊細に物語を紡いでいった。
他人ごとではなく、自分ごととして――。
その三木監督の意識は秋人と春奈を演じた永瀬廉、出口夏希らの役者陣はもちろん、スタッフ陣にも共有された。