SNSや匿名掲示板で起こる芸能人・一般人への誹謗中傷…“開示請求”事例や手続きについて弁護士が解説
具体的には、電子メールやSNSのダイレクトメッセージ(DM)です。「プロバイダ責任制限法」は、開示請求できる対象を「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者」(プロバイダ責任制限法5条)と定めています。ここでいう「特定電気通信」とは、「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信」(プロバイダ責任制限法2条1号)を意味するとされており、具体的にはインターネット上において公開された投稿を指します。電子メールやDMなどは、一対一の通信であり「不特定の者によって受信される」通信とはいえないため、対象になりません。
○開示請求からの民事裁判で、損害賠償請求に
――実際に開示請求を行う時には、どういう動きになるのでしょうか?
対象となるコメントが投稿された場合、まずはSNSサイトや電子掲示板の運営会社(運営者)であるコンテンツプロバイダに対して、「発信者情報開示命令の申立て」や「発信者情報開示仮処分命令の申立て」という裁判を起こします。コンテンツプロバイダから迅速に発信者情報の開示を得るために、2つの裁判を並行して起こす場合もありますし、いずれか一方の裁判だけを起こすこともあります。