奥様はコマガール (32) 強情な妻の憎まれ口を押さえつける方法
一方の僕は、チー曰く「片付け魔」である。
部屋に物が散在している様子が不快でならないため、帰宅するとまずはアウター類をクローゼットにしまい、鞄類を部屋の所定の位置に戻す。
例えば旅行などから帰ってきたときもそうだ。
家に入るなり、まずはキャリーバッグの中身をすべて元に戻し、出発前の状態に戻してからじゃないと、人心地つけない。
雑菌関係にはてんで疎く、床に落ちた菓子でも平気で拾って食べるような大雑把な僕であるが、こと整理整頓に関しては、チーも辟易するぐらいのコマボーイなのだ。
したがって、チーと結婚して以降、前述した彼女の置き去り癖にストレスが溜まり、これまでに何度も「すぐに片付けてほしい」とお願いしてきた。
キッチンの歯ブラシなんかもってのほかである。
僕はそれを見つけるたびに、「はい、まただよー。
歯ブラシはすぐ片付けようねえ」とやんわり釘を刺しながら、率先して片付けるわけだ。
ここで冒頭の話題に戻るが、このときチーは真っ先に「うん」や「ごめん」が言えないタイプなのだ。必ず「いや、違うの。
今やろうと思ってたんだけど、ちょっと……(かくかくしかじか)」と、それをすぐにやらなかった理由を説明しようとする。