岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (5) 日銀は本当に”悪者”なのか? - 「何もしない日銀」というバッシングの虚構
しかし、それはあくまでもイメージにすぎません。
風評を利用した批判だけでは経済の実態からかけ離れてしまいます。
そして、根源的問題を遠ざけるという意味では百害あって一利なしです。
FRBよりも日銀が何もしていない、という議論への反論意見の1つとして東短リサーチのチーフエコノミストである加藤出氏の指摘を紹介したいと思います。
実は銀行間には日々の資金の過不足の調整をおこなう短期金融市場があるのですが、その資金のやりとりの仲介をしてくれる業者の1つに東京短資という会社があります。
東短リサーチはそちらのグループ会社になります。
加藤さんの書かれるレポートには定評があり、私のディーリング・ルームでのキャリアがこの短期金融市場での資金のやりとりから始まったのもあって、かねがね読ませていただいた経緯があります。
情報ベンダー、ブルーム・バーグはその加藤さんの「ウィークリーリポート」の引用として、昨年12月時点での各国中央銀行のGDP比における資産規模を比べています。
実際の総資産の数字はFRBが約3兆ドル(240兆円)、日銀が140兆円ですから、FRBがまさっています。
しかし実額だけでは相対的な姿はわかりにくいので、国の経済規模であるGDPと比べて、それぞれの中央銀行がどれぐらいの資産を保有しているのかを比較しているのです。