岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (5) 日銀は本当に”悪者”なのか? - 「何もしない日銀」というバッシングの虚構
そして今回の追加緩和策によって日銀の資産規模は2012年の年末にはGDP比で24%まで拡大するとの試算もでています。
つまり、国の経済規模から考えればFRB以上の割合で日銀は市場に資金を供給してきたということです。
従ってFRBよりも日銀が何もしていないのではなく、FRBがようやく日銀に近付いてきたとも言えるでしょう。
なぜそれほどまでの大量の量的緩和が実施されても効果が発揮されなかったのか、などの問題はありますが、それはまた別の議論として、少なくとも10数年日本は世界先駆けて最大限の緩和策を実施してきたことは間違いありません。
そしてここ数年米ドルに対して円高が進んできたのも日銀のせいではなく、日本と米国の経済的な構造の違いによるものです。第3回目で触れたように、日本の2011年の貿易収支は一時的に赤字に転じましたが、それでも過去30年にわたり黒字を出してきました。
所得収支でも毎年巨額の黒字が計上されています。
それが世界最大の債権国の立場を維持している理由です。
かたや米国は経常赤字国であり、世界最大の債務国なのです。
2011年12月に発表された第3四半期の経常赤字は2年ぶりに縮小しましたが、それでも1,102億8,000万ドル(約8.4兆円)