「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (14) 「良い世の中を創ろうぜ!」の意味が腹に落ちる - そして、チャンス到来!
こうしたビジネスと顧客の関係を客観的に捉える感覚が自分に欠如していたことに気付き始めました。
長期投資が正しい運用だ、それを指向するのは運用者として当たり前のこと、という独善的な発想から、社会的価値や顧客ニーズに鑑みた長期投資の存在意義を感じられるようになったのです。
それは自分と言う個人がやりたい仕事としてあった運用者の立場からの長期投資から、社会との適合性に即した長期投資へ、つまり事業家として長期投資を捉えることができるようになったということでしょう。
澤上さんがいつも私に説いてくれた「良い世の中を創ろうぜ!」の意味が本当に腹に落ちたのも、実はこの時期だった気がします。
振り返れば、自分本位の長期投資から世の中のため・生活者のための長期投資へ、事業の存在意義と蓋然性に基づいたビジネスモデルのブラッシュアップができた時期でした。
先述の『敗者のゲーム』から得心したパッシブポートフォリオ。
つまり市場平均の運用で負けない投資を実現する考え方は、資産運用の世界とは無縁の一般生活者にとって、最も納得性のある長期投資だと、大きな事業モデルの整理ができました。運用から離れたこの時期があったお陰で、結果として長期投資のビジネスモデルがソフィスティケートされることができたのでしょう。