読む鉄道、観る鉄道 (12) 『旅の贈りもの 0:00発』 - ぶどう色EF58とマイテ49のミステリートレイン
遠くへ行きたい。
行先も決めず、なにもかも忘れて旅に出たい。
映画『旅の贈りもの 0:00発』(2006年公開)では、そんな気分にぴったりの列車が登場する。
偶数月、第3金曜日の深夜0時に大阪駅を発車。
行先は不明。
料金は謎の目的地への往復きっぷで9,800円。
使用車両はEF58 150号機。
客車はレトロ風に改造されたスハフ12と展望車マイテ49。
この列車は行きだけで、帰りは好きな列車に乗ればいい。
きっぷの有効期間は1カ月。
本当にこんなツアーがあればいいのに……。
深夜。
キャリアウーマンの由香(櫻井淳子)は急ぎ足で大阪駅にやってきた。
年下の彼と海外旅行に行くはずだった。
しかし二股をかけられていたとわかり、関空から引き返す。
ハンドバックの中に、「行先不明」のきっぷがあった。
孤独な人々とネットで知り合い、帰らぬ旅に出るはずだった少女、華子(多岐川華子)。
ちょっと遅刻しただけで仲間とはぐれてしまい、さらに孤独がつのる。
援交を持ちかけるオヤジから逃れ、たどり着いた大阪駅12番のりばに奇妙な列車が停まっていた。
サラリーマンの若林(太平シロー)