2012年7月12日 08:34
岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (16) 増税の論拠は「税収減」ではなかったか? 2011年度税収は”前年度超え”の事実
財務省は今月に入って、一般会計決算(概要)を発表しました(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2011/ke240702.htm)。
昨年は東日本大震災のため、経済活動の停滞を余儀なくされた状況があります。
電力供給への不安もあり、停電によって工場などの操業はかなり制限もされました。
そして為替市場では対ドルで戦後の最高値を更新し、長らく円高水準に留まっています。
私自身は円高で日本経済全体が疲弊するとは思ってはいませんが、仮に円高によって打撃を受けるのであれば、法人税の税収は大幅なマイナスになるはずです。
円高というよりも震災の悪影響を懸念してのことですが、2011年度は税収の落ち込みを予想していたのです。
しかし、公表を見て唖然としました。
国の税収は42兆8326億円と前年度超えの税収です。
新聞などの報道によれば、扶養控除の見直しで所得税が13兆4761億円で前年度比3.8%増加したとのこと。
国民にとっては負担が増えたことになり、これは素直には喜べないとしても、非製造業の業績回復によって法人税収が9兆3,514億円、前年度比4.3%のプラスとなりました。