2012年9月21日 12:20
奥様はコマガール (63) 事実婚の男女と紙切れ一枚の重要性
という名の一括りで扱ってくれるようになる。
欧米なんかは特にそうだ。
あらゆる場面において、家族の同伴が当然の習慣になっているため、誰も妻を伴うことに疑問を感じないのだ。
話を婚姻届に戻すと、この紙切れ一枚とは他者に自分たちの婚姻関係を証明するためのものではなく、きっと人間が人間であるがための不安定な心を保全する御守りみたいなものなのだろう。
いくら男と女が深く愛し合い、互いに一生を共にすると強く誓い合ったとしても、その関係になんらかのお墨付きがない限り、人間は漠然とした不安を感じるものだ。
愛情とは実体のないものだからこそ、それを大切にすればするほど、それを信仰すればするほど、そこに実体を求めたくなってしまう。
これはもう人情である。
そう考えると、夫婦関係を証明する紙切れ一枚とは、ただの契約書ではないのだ。
実体のないものを永久に信じ続けられるほど人間は強くない。
だからこそ、男と女は紙切れという実体を作り、そこに互いの愛情を込めることで、偶像崇拝による精神安定の効果を生む。
「たかが紙切れ」と馬鹿にすることなかれ。
この紙切れがあるからこそ、夫婦はあらゆる苦難に直面しても、それにすがったり、拠り所にしたり、つまり紙切れを御守りにして危機を乗り越えていく。