くらし情報『奥様はコマガール (63) 事実婚の男女と紙切れ一枚の重要性』

2012年9月21日 12:20

奥様はコマガール (63) 事実婚の男女と紙切れ一枚の重要性

結婚を法律に委ねることは、男女それぞれが不安と闘いながら生きていくことを誓った覚悟の証なのだ。

僕の知人に、若くして最愛の夫を病気で亡くした初老の未亡人女性がいる。

現在、彼女は都内のマンションで独り暮らしをしているのだが、彼女に「一番大切にしている宝物は何か? 」という質問をしたところ、こんな答えが返ってきた。

「死んだ夫と結婚したとき、役所に提出した婚姻届のコピー」これには思わずハッとさせられた。

死んだ夫の写真でもなければ、二人の思い出が詰まった品物でもない。

それよりも、自分は生前の彼と永遠の愛を誓い合ったのだという揺るぎない証拠のほうが人生の宝であり、いまだに寂しさを感じたときはそのコピーを眺めることで心を癒すという。

彼女にとって婚姻届を大切にするということは、きっと寂しさや不安への懸命な抗いなのだろう。紙切れがあることで、彼女は気丈に生きられるのだ。


しかし冒頭の彼と彼女、つまり事実婚状態の男女にはそういった御守りがない。

彼らは互いの愛情が深いからこそ紙切れは必要ないとうそぶくが、僕の見解では互いの愛情が深ければ深いほど、そこに紙切れという実体を求めたくなるのが人間だと思う。

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