岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (21) 日銀の「金融緩和」は海外に資金が流れるだけ? ”海外バブル→崩壊”再生産も
日銀が資金を供給できるのは金融機関に対してのみ、民間には直接資金は渡せないのだ、というのは既に触れた通りです。
供給された資金が民間に行き渡るためには金融機関が資金の貸し出しを企業などに行わなければならいわけですが、この流れについては、金融機関から企業に資金がダイレクトに渡るという意味で、「直接的な方法」としましょう。
それとは別に実はもう1つ民間に資金を流すのには「間接的な方法」があります。
それは金融機関が日本政府の発行する国債を購入することで、その効果が期待されるものです。
具体的にいうと、金融機関があり余った資金を使って国債を購入すれば、購入した代金は政府に流れていきます。
そうして流れていった資金を使って、政府が公共事業などを民間に発注してくれれば、民間へとお金は流れることになります。
政府が間に入りますので、間接的としましたが、昨年は東日本大震災がありました。
まだ震災の爪痕が残るような被災地の整備をする事業を民間業者に対して政府が発注すれば、政府から民間へと資金が流れることになります。
発注された業者は実際の作業のために労働者を確保する、整備のための資材を購入する、資材搬入のための道路の工事をする、細かい話では労働者の宿泊所や食事の提供などまで考えられますから、波及的に政府から事業者を通じて、その先の民間へとお金が流れていくことになります。