岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (21) 日銀の「金融緩和」は海外に資金が流れるだけ? ”海外バブル→崩壊”再生産も
に頼らざるを得ないということです。
そして、公共事業にしてもかつてのようないわゆる「箱もの」ではなく、被災地支援はもちろんのこと、震災に遭遇した今は日本にとっては再生エネルギーの開発などが最も求められています。
また再生エネルギーを溜めるためには蓄電池が必要となりますから、こうした研究開発が早急に進められることも求められます。
このような分野へ積極的に政府が資金を投入することが、日銀の緩和の効果を民間に波及させる効果に繋がります。
「直接的な方法」、「間接的な方法」ともに採用しないで金融緩和だけを実施するとどうなるか、それは2000年代の経緯からわかります。当時私自身は外資系の金融機関で短期金融市場での取引もしていました。
規模の小さな金融機関ではありましたが、日々、何千億円もの資金が銀行の当座預金に積み上がっていました。
金利がほとんど0%で、貸出し先もないわけですから、ひたすらブタ積みされたお金を眺めているだけです。
そんなある時、その資金を貸しくれとロンドン支店からの注文がきました。
ロンドンで使い切れなければ米国にある本店でも使うから、というのです。
金融機関が他の金融機関や企業に貸し出す場合には与信枠といって、貸出し相手として相応しいかどうかの査定が必要となりますが、同じ銀行の本支店間であれば与信枠はありません。