2012年10月25日 08:32
岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (21) 日銀の「金融緩和」は海外に資金が流れるだけ? ”海外バブル→崩壊”再生産も
「間接的な方法」では日銀からの供給→金融機関による国債の購入→政府による公共事業の発注→民間、という流れができます。
これでようやく我々の手元に金融緩和の恩恵が生まれることになるのです。
前回も触れた通り、これまでの十数年「直接的な方法」については金融機関による積極的な貸出しが期待できなかったために、民間への資金の流れが遮断されてきました。
そうすると、残された方法は「間接的な方法」だったわけですが、こちらも「公共事業=無駄使い」のイメージが浸透したために、そして実際に公共事業が手控えられたために、「間接的な方法」も思うように実施されず、有効ではありませんでした。
こうなると、いくら日銀が金融緩和をしても国内には資金が行き渡らないのです。
年金として配られたとしても先行き不安で預貯金に回され金融機関に再度戻っていく、あるいは日本は財政破綻をするからなどといって海外投資に手を出し、損をするだけということもあったでしょう。
これでは国内に資金は回りません。
もちろん、誤解をしてほしくないのですが、無駄な公共事業をどんどんやれと言っているわけではありません。
ただ、民間に資金を流す方法には2つしかなく、1つ目の手段が有効でない状況では、日銀の金融緩和の効果を狙うためには2つ目の「間接的な方法」