経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (25) 「TPP」や「FTA」は世界を斬り刻む!? 浜矩子氏が語った”通商”の真実とは?
奪い合いの対象として、マーケット用語で言うところの占有率のシェアと、フェイスブックなどで浸透している分かち合いを意味するシェアとの間には、大きな違いがあります。
奪い合いのシェアの意識が強まれば、それは地球経済を斬り刻み、占有率を高める行動につながっていくことになります。
鈴木 : EPA、FTA、TPPは、各国同士の奪い合い、国々が自国の占有率を高めるためのシェア意識と言えそうですね。
この「シェア」については、第3章において1948年、第4章で1930年代へと遡る旅をした後、第5章にて、浜先生の見解を述べていらっしゃいます。
これまで転倒、倒錯、混迷してきた「通商」の世界の未来に向けて、その解決策が見出されていきますね。
浜先生らしい発想だなぁと感じました。
私がまさに「惚れた!」ご意見でもあります。
鈴木 : まとめとなる第5章では、そもそも市場というものが、弱肉強食のジャングルの世界なのか、ということについても触れていらっしゃいます。
浜先生はそこは違うのではないかという考えをお持ちですね。
浜 : はい。
ジャングルという世界は、淘汰の世界であるのは確かですが、調和を保った共生の世界でもあるわけです。