2012年11月2日 11:17
山田隆道の幸せになれる結婚 (5) 正しい妻の褒め方
作家という肩書を背負っていると、自分の作品についての不特定多数の様々な批評を耳にする機会が多く、またネットを開けば否が応でもあらゆる批評が目に入ってくる。
そういうとき、作家として嬉しいのはもちろん作品を称賛されることなのだが、その称賛の言葉が具体的であればあるほど喜びは増大する。
作品全体を「とてもおもしろかった」と褒めてくれることよりも、「どこそこの、あの一文がとても良かった」「どこそこの、あの描写が格別だった」などと、細かいところを的確に指摘されるほうがはるかに快感を覚えるのだ。
ちなみに、そもそも僕は読者の方々から「ストーリーや内容が好きだ」と言われるよりも「文章や描写が好きだ」と言われるほうが嬉しい作家である。
最新刊の『虎がにじんだ夕暮れ』(PHP研究所)についても、正直なところストーリーや設定は定番だと自認しており、奇をてらったようなプロットも確信犯的に避けている。
なぜなら僕自身がそこをあまり重要視しておらず、それよりも文章美や情景及び心理描写に尽力しているからだ。
話が大胆に逸れたので、元に戻します。
とにかく夫婦間で相手を褒めるという一見難しそうな行為は、「間接的」